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2008年06月25日

幸せなホタルと、見世物のホタル

[ 投稿者 : fratdrive ブログ : [ f ]ご当地エクスプローラ カテゴリー : 日本 ]

先日、「発生しないはずの場所でホタルが大発生する国ニッポン」で、環境が観光の食い物にされている現状の一端を伝えた。

(「環境が観光の食い物にされている」というのは表現としては狭いというか、自然なり環境なりが人間の都合でいいように解釈され利用され使い捨てられているかもしれない現状の1つのバリエーションでしかないと思うのだけど、まあわかりやすく)

今回は、取材先にすっかり言いくるめられてしまったらしい産経新聞・高砂利章記者の記事を紹介する。引用の範囲を超えた全文転載であるが、職業記者だからパーマリンクに耐えうる頑丈な記事であろうことを期待したい。

 長野県辰野町松尾峡にある「ほたる童謡公園」で21日から恒例の「ほたる祭り」が始まった。先週末には公園内で1万匹近いホタルが明滅し、光の乱舞で訪れた人たちを魅了した。ただ、水質汚染、豪雨災害など絶滅の危機に何度もさらされながらの復活に対する努力に称賛の声が上がる一方、外部からホタルを持ち込んだことに批判もあり、関係者は困惑する。こうした議論をもとに生態系について考えた。(高砂利章)
 薄暮が夜の帳(とばり)にすっぽり包まれ、手元のカメラさえ見えなくなるころ。斜面に張り巡らされた水路から、控えめな明かりがひとつ、またひとつとともされる。やがて公園全体に小さな明かりがびっしり張り付き、怪しく息づいたり、地上を離れ宙に舞ったり。まるで公園そのものが生きているようだ。
 辰野町役場では毎日午後8時から1時間、調査員がカウンターを片手にホタルの明かりを数えているが、今年は6月1日に初確認され、先週末には約9000匹に及んだ。一昨年7月に県南部を襲った豪雨被害で水路が分断され、公園内が干上がりかねない危機に陥ったが、天竜川の水をポンプでくみ上げるなど素早い対応が復活につながったという。
 松尾峡のホタル育成に50年以上も携わってきた勝野重美さん(78)は「農業に水が必要な時期にも、公園に水を回してくれた農家の方々のおかげ」と、感謝の言葉を述べた。
 県内で生物教師を務めていた勝野さんが辰野高校に赴任したのが昭和30年。「ホタルの明かりで、水路に沿って明るい帯ができて、それが明滅する。声を失うほど美しかった」と、当時を振り返る。
 ホタルに魅せられ生態研究も始めた勝野さんだが、すぐに重大な危機に直面する。日本が高度成長期に入った昭和30年代後半から、水路の源になっていた天竜川の水質悪化で、松尾峡は壊滅状態に。しかし付近の沢から水を引いた水路ではホタルが生き残っていたことに着目し、水路に沢水を引くように改修工事を実施。さらに公園を整備し、エサとなるカワニナが生息しやすい環境を整えるなどした結果、松尾峡はかつての“輝き”を取り戻し、平成15年には累積目撃数が約14万匹に達した。今では毎年20万人近い観光客がホタル鑑賞に訪れるが、こうした功績が認められ、勝野さんは昨春、地域づくり総務大臣表彰を受けている。
 しかしここ最近、絶滅の危機に直面した際に他県から繁殖用にホタルを導入したことや、ホタル生息地として公園を整備したことをとらえ、勝野さんや町を批判する声もある。「ありのままの自然ではない」「古来からの生態系を乱した」というのがその主張だ。
 「その時その時にホタルを守るためにできることを一生懸命やってきただけ。地域古来のホタルを大事に守る生息地があってもいいし、たくさんの人が乱舞を楽しむ場所があってもいいと思うのだが」と勝野さんらは当惑する。
 川や湖の魚類を例にあげると分かりやすいが、釣り人によるブラックバス放流のほか、行政や地元漁協による外来魚のニジマスやブラウントラウト、フナ、ワカサギ、養魚場生まれのアユや渓流魚の放流。その結果、現在の内水面で古来の生態系をそのまま受け継ぐ水域は限りなくゼロに近い。
 生態系への認識が薄かった時代の出来事を「思慮のない移入」「密放流」などと考え、犯人探しや批判に熱心な人たちもいる。しかし山奥の清流沿いや源流域には、今も古来からの遺伝子を保ち続けているホタルやイワナがいる。こうした水域や地域を見つけ出し、保護する。それが今、私たちが最優先で行うべきことではないだろうか。
観客を魅了する光の乱舞 松尾峡のホタルから生態系を考える
…よくもまあこんな提灯記事を書けたものだと最初は思いましたが、きっと人を疑うことを知らない若く純朴な記者なのでしょう。

とりわけ、「川や湖の魚類を例にあげると分かりやすいが〜」のくだり、おそらく勝野氏サイドの主張を鵜呑みにした自動筆記マシーン化しているような気配も感じられるのだが、よくこんな記事をデスクは許したなという印象。

「地域づくり総務大臣表彰」ってお墨付き、どれだけ素晴らしいか調べもしてないのだけど、誰かの自慢話?

「山奥の清流沿いや源流域には、今も古来からの遺伝子を保ち続けているホタルやイワナがいる」…って、ホタルは人里離れた山奥にひっそり自生していることもあるけど、むしろ人のそばで生きてきたんじゃないでしょうか。

場所は言いませんがムラのいたるところでホタルが普通に見られるというとこがありまして。そこは養殖も放流も何もしてないんだそうです。公園は整備しましたけど。あとはただ、見守っているだけ。「高く飛んで見ごたえがあると言われます」と聞いたとき、なんのことやらさっぱりわかりませんでしたが、いろいろ調べて知りました。ホタルにとって「高く飛べる環境」というのがどれだけうれしいのかということ。

「地域古来のホタルを大事に守る生息地があってもいいし、たくさんの人が乱舞を楽しむ場所があってもいい」というのはたぶんただのいいわけで、見に来る客はそんなこと区別してないし、当のホタルだって…。
幸せなホタルと、見世物のホタル。いまホタルはこの2種類に分かれるかもしれません。下手すりゃ、養殖でぬくぬく育てられたあとにいきなりシベリア強制労働で野垂れ死にの世界ではないんですか?

「その時その時にホタルを守るためにできることを一生懸命やってきただけ」というなら、過去の過ちは改めてほしい。「他県から繁殖用にホタルを導入」って、まさかあの業者から買ったのではないだろうなあ。

「辰野ほたる祭り」って、JR東日本もうちの近所の駅にもチラシ置いてたなあ。なになに、「東日本随一といわれる辰野のゲンジボタルの群生を鑑賞」、新宿発着18,800円〜24,400円、ほたる鑑賞バスは20時40分頃に公園着。ヘッドライトをこうこうと照らしたバスが次々と公園に入ってくるんですねえ。一番ボタルも見られないんですねえ。ホタルの気持ちなんかより地域振興ですねえ。

もし事実誤認の点があればご指摘ください。

※ほんとに近いうち、「清流ファシズムの犠牲になるホタルたち」という記事を書きます。

■追記:2009-02-01 13:49

東京ゲンジボタル研究所・古河義仁さんのブログからトラックバックをいただきました。ありがとうございます。また、承認が遅くなり、申し訳ありませんでした。
(あまりトラックバック来ないので、チェックをさぼってました。。。)

■関連記事:
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発生しないはずの場所でホタルが大発生する国ニッポン

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2009/01/07 18:06
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コメント

勝野 重美 氏の「地域づくり総務大臣表彰」の受賞理由は、

ホタルの町を復活
http://www.chiiki-dukuri-hy...
で読める。

それによると、「絶滅の危機に直面したのを救った」とのことだが、
kumageraのブログ
http://blogs.yahoo.co.jp/ku...
に書かれているとおり、ここ辰野町松尾峡のホタルは、他県の業者などからの購入や譲渡によって得られたものを、移入増殖させ

たもの。絶滅の危機に直面したのを救った、とは言えないと思うが・・・。

実際、この移入によって、地元ホタルが絶滅に追いやられたようである。
つまり、地元のホタルを守れなかったわけである。

どうも受賞理由がおかしいような・・・。

ひょっとして、選考の際、購入や譲渡による他県ホタルの移入情報を知らされなかったのか?
posted by http://blogs.yahoo.co.jp/kumagera2009 at 2010-01-16 23:17:12

勝野重美氏のことが掲載された産経新聞記事
http://sankei.jp.msn.com/re...
に関するfratdriveさんのコメントを引用させていただきました。
http://blogs.yahoo.co.jp/ku...
posted by http://blogs.yahoo.co.jp/kumagera2009 at 2010-03-13 00:25:41

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