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2007年10月16日

[地球温暖化]「不都合な真実に科学的間違い」のニュースから

[ 投稿者 : fratdrive ブログ : [ f ]ふらっとどらいぶログ カテゴリー : news ]

先日ノーベル平和賞を授与したアル・ゴア前米副大統領ですが、いっぽうで、「不都合な真実に科学的間違い」というニュースがイギリスから。
地球温暖化を警告したゴア前米副大統領のドキュメンタリー映画「不都合な真実」の内容が「政治的だ」などとして、英国の中等学校で上映しないように保護者が求めた訴訟で、英高等法院は10日、「大筋で正確である」として原告の訴えを退けたものの、映画には9つの「科学的な間違い」があると指摘した。
BBC放送などによると、判決は同映画の9カ所が科学的な常識として定着していないとして、授業などで上映する際に、教師らが議論となっていることを生徒らに指摘すべきだとした。
判決は、映画では南極やグリーンランドの氷が解けることにより、近い将来、海面が最大6メートル上昇する可能性があるとされたが、実際には「数千年以上かかる」と指摘した。(共同)
不都合な真実:ゴア氏映画に科学的間違い…英高等法院(毎日新聞10月12日)


読売新聞はこう伝えています。
判決言い渡しで裁判官は、グリーンランドを覆う氷が溶けて「近い将来に」水面が7メートル上昇するかもしれないというくだりは、「科学的な常識から逸脱している」と指摘。地球温暖化でアフリカ最高峰キリマンジャロの雪が後退しているという主張も科学的裏付けがないとの判断を示した。ただ、「地球温暖化が人為的な原因で起きている」という全体のメッセージについては、妥当だと認めた。
ゴア氏の映画「不都合な真実」、英裁判所が是正措置要求(読売新聞10月12日)
AFPによれば原告のStewart Dimmockさんは原発建設などを提唱する政治団体「New Party」のメンバーだそうで、それもなんだかなあ〜って気がしないでもないですが、ま、100%鵜呑みにしてはいけないということは大本営発表の時代から変わらない教訓ですね。

AFPによれば、「ゴア氏のノーベル賞受賞に各国の懐疑派が反論」だそうです。また朝日新聞によれば、チェコのクラウス大統領は環境保護活動を「思想と意思決定の自由に対する規制が目的で、共産主義と同じ手法だ」と批判しているそうです。)

ところで神戸女学院大学文学部教授の内田樹氏はブログに「地球温暖化で何か問題でも?」と書いています。
「地球温暖化の原因は二酸化炭素の排出」と学生さんたちはすらすら言うけれど、温暖化と二酸化炭素のあいだの因果関係はまだ科学的には証明されていない。
池田清彦さんによると、二酸化炭素の排出が急激に増加したのは、1940年から70年までであるが、この時期に気温は低下している。
地球温暖化で何か問題でも? (内田樹の研究室)
このエントリーにはたくさんのコメントがつけられていて、そちらの内容のほうがむしろ興味深かったりするのですが、「地球寒冷化よりずっとましだと思う」という氏の主張は、ぼくが1998年(古っ!)に書いた「地球温暖化バンザーイ説」に通ずるものがあります(とさりげなくアピール)。

以前から「地球が温暖化しても海水面はあまり上がらない」と言っていた方もいますね。中部大学総合工学研究所教授の武田邦彦氏です。
地球温暖化の研究というのは膨大なデータと計算が必要なので、世界の国がお金を出し合って国連にIPCCという研究機関を作り、そこで一括して研究しています。そこが発表している温暖化の影響は、「北極の氷が融けてもアルキメデスの原理があるから海水面には関係がない」、「南極の氷は温暖化すると増える」、「今後30年間の海水面の上昇は10センチぐらい(10メートルではない)」…などです。
日本では15年来、北極や南極の氷が融けて海水面があがる、その上がる幅は6メートルとか60メートルという大幅なものだ、と報道されてきました。そういったデータがどこから出てきたのかはわからないのですが、日本人は、毎日、新聞やテレビで見てきたので、いつの間にか「間違ったデータを使う方が正統で、正式なデータを言うと異端」になったようです。
拙著をまだお読みになっていない方の為に簡単に解説しますと、北極の氷は海の中に浮かんでいるので、融けても融けなくても海水面には影響がありません。私は大学で物理を教えていたので、4年ほど前、テレビで「北極の氷が融けて海水面が上がる」と聞いたときにはビックリしました。本当にアルキメデスの原理に反することが起こるのか? と驚いたものです。
南極は少し難しいのですが、冷蔵庫を思い浮かべれば気がつくでしょう。冷蔵庫に水を入れるよりお湯を入れた方が霜は多く付きます。つまり、うんと冷えたところがあると周囲の水の温度が上がった方が凍る水の量が増えるということです。南極点の温度はマイナス50度ですから少しぐらい温度が上がっても零下何10度であることは変わりません。だから、「温暖化すると南極の氷が増える」ということになるのです。
東洋経済オンラインマガジン2007年6月14日
報道に事実無根があったとするなら問題ですね。テレビジャーナリズムの末端にいて事実を追求するのが仕事のぼくとしても、スルーできない話です(何が事実かは確認していないのでなんとも言えませんが)。

この方、「日本ではペットボトルはリサイクルしていない」と言っている方でもありますね。
この日本で、ペットボトルがリサイクルされていないというのは、まるで現代の怪談話のようです。これほどみんなが分別して、駅でも学校でもペットボトルのリサイクルの箱が設置されていて、お金も1年で600億円も使っています。それなのに、100本のペットボトルのうち、何とか用途があるリサイクル品は6本がせいぜいで、残りの94本は焼却されているか、それに近い形で処分されているのですから。
こうした「怪談話」、ほかにもいろいろとあるかもしれません。

地球温暖化はいま全地球的にホットな話題ですが、議論のベースとなる肝心のデータの部分が、少々危なっかしい気がしています。かりに元の科学的データが正しいものだったとしても、それを正確に読み解くのは専門家でなければたぶん無理で、当の専門家が(意図のあるなしにかかわらず)正しく伝えてくれなければ僕らは不正確に理解してしまうし、専門家がいくら正しく伝えてくれたとしてもそれをつまみ食いしたメディアがセンセーショナルに歪曲してしまう可能性もある。さらに加えて根拠のある仮説やら、根拠のない主張やらが入り乱れると、もうお手上げ、わけわからん。

(そもそも科学というのは相対的なもので、仮説を立てて証明した結果これまでの科学的常識を覆すというプロセスでこれまで科学って発展してきたんですよね多分?)

ただ、「みんなが言ってるから正しい」という思考停止に陥ってしまうのは危険だから、いろんな情報、いろんな意見に接して、自分なりに考えて、こうして書いてみたりすることが大事かなあとか思ったりしています。ブルース・ウィリスも「考えろ考えろ考えろ」って言ってたし。

■関連記事:地球温暖化なんか放っとけ、という主張
■関連記事:ペットボトルは大量のCO2を排出し地球温暖化を促進?

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at 10:42:40 | この記事のURL |


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2007/10/21 00:12
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コメント

>思考停止に陥ってしまうのは危険
まさにそうですよね。
最近のTV番組の思考停止な作りには疑問を感じてしまいます。
posted by もふ at 2008-06-25 10:19:55

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