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2008年10月09日

ある魚屋さんの閉店(通りすがりではない消費者)

[ 投稿者 : fratdrive ブログ : [ f ]ふらっとどらいぶログ カテゴリー : いいものはいいっ! ]



ずっとお世話になっていた魚屋さんが、先月末で店を閉めてしまった。突然のことだった。圏央道工事のためだという。
残念だ。うちにとっては圏央道なんかより大事な魚屋さんだったのに。

いつから通っているだろうか。うちの子がチビだった頃からだから、かれこれ10年くらいか。
ここはとにかくマグロの赤身と、ぼくの大好物の赤貝がすごくおいしい。
いかにも職人って感じのおじさんと、いかにも魚屋って感じのおばさんがやっていた。
おいしい刺身が食べたいときには必ずここで、「赤身2人前、カンパチ1人前、赤貝1人前…」てな感じで注文する。店をかまえていたのがショッピングセンターの一角で、刺身ができる間、2階にあるゲームコーナーとかにチビだった子どもを連れていき、ミニ電車に乗せて遊ばせたりした。
できた頃合に行くと、立派な盛り合わせが置いてあって、「うわーおいしそう」なんて言いながら受け取る。
その夜は、みんなで「うまい、うまい」といいながら盛り合わせを平らげ、ぼくはビールを飲んでいい気分。

その魚屋さんが、なくなってしまった。

おいしい魚屋さんがなくなるのは残念だけど、でも、それだけじゃない。
おじさんとおばさんに会えなくなること、おじさんが切った刺身を食べられなくなること…それが残念。
10年通った店がなくなることが残念。

どんな人がやっているかもわからない店だったら、たぶんなんとも思わない。
通りすがりの消費者、ただの売る側と買う側という関係だったら、たぶんなんとも思わない。
魚屋さんに通った歳月が、そこで買った刺身をいっそうおいしくしているんだと思うし、だからこそ、残念。

こういう感覚、若い頃にはまったくなかった(生きてる年数が少ないんだから当たり前)。20代の頃なんてせいぜい、アパートの近所のクリーニング屋さんとかに「毎度」とか言われてびっくりするぐらい。

通りすがりの消費者というだけの存在なら、「安くていいもの」だけを探していればいいのだろう。そういう関係が、生産者と消費者、お互いをどんどん貧しくさせているのではないのだろうか、なんて、最近思ったりもする。

いいものを作って、売って、ささやかに暮らしている、なじみのお店がある。ぼくはそれを大事にしていきたい。

※写真は、9月20日にこの魚屋さんで買った刺身盛り合わせ。赤身2人前、赤貝5個、いか1ぱい、サンマ1匹。合計3570円。家族でおいしくいただきました。ありがとうございました。

■関連記事:
嘘で固めたインターネットと消費者の暴動 - 『情報崩壊バブルの崩壊』(山本一郎)
会員制の魚屋「浜どんど」
寂しい「お客様」 - 分断された生産者と消費者

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