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2008年08月07日

思考停止は悪だと思う。(桐生第一・つづき)

[ 投稿者 : fratdrive ブログ : [ f ]ふらっとどらいぶログ カテゴリー : fratdrive日記 ]

以前書いたもの↓。これはその続編。
連帯責任は思考停止だと思う。(桐生第一)

桐生第一、初戦敗退だったけど、おつかれさまでした。二重の重圧のなかで頑張ったことは、きっとプラスの経験になったと思います。この1週間で考えたことを忘れないで、これからを生きていってほしいと思います。

改めて書きます。
「ひとりの部員が悪いことをした。だから、連帯責任で出場辞退すべし」は思考停止だと思います。「だから」に飛躍がある。なぜ野球部全体が責任を負わなければならないのか、説明が欠けています。
こんな飛躍した理屈がまかり通るのであれば、こんな理屈もまかり通るに違いありません。
・秋葉原で連続殺傷事件を起こした男が勤務していた工場は、連帯責任で操業停止すべし。
・わいせつ行為で捕まった選手の所属するJリーグチームは、連帯責任で出場辞退すべし。
・強制わいせつで逮捕されたアナウンサーがいる放送局は、連帯責任で放送自粛すべし。

ぼくは問うているのは犯罪のことではなく連帯責任のことです。
高野連の西岡審議委員長が7月31日の記者会見で「部活動とは直接関係のない時間、場所で発生した事件であって、しかも関与したのが1人の部員だけ。こうした事例は過去も出場停止にしていない」という趣旨の説明をしたようですが、これは論理の飛躍もなく、きわめて納得のいく説明だと思います。
ぼくが以前書いた主張は要するに、多くの人々にマイナスの影響を与えるわりには控えめに言っても意味のない出場辞退など選択すべきではないというもの。加害者は叩きのめされすぎて更正が難しくなりますし、被害者ももしかしたら自分を追い込んでしまうかもしれません。私があの時、もっと気をつけていれば、もっと早く帰っていれば、違う道を使っていれば、出場辞退なんて大変な結果をもたらすこともなかったのに。そう考えても不思議ではありません。
(もちろん、被害者の心情を安易に推し量ることはするべきではありませんが、あくまで可能性として)

以下の堀田力氏の意見にぼくも同意します。
今回の犯罪は絶対にやってはいけないことだが、責任は完全に個人にある。個人の資質に基づく犯罪で、野球部の仲間にとって予防可能だったかどうか。連帯責任を負う範囲を優に超えており、無過失責任だ。
これで出場できなければ、責任を負わされた方も納得いかず、頑張る意欲を失ってしまう。野球だけでなく勉強などにも将来的に悪影響を与えるだろう。
[ link ]
出場辞退して納得するのは、「悪いことした奴とその一味は無条件で地獄に堕ちろ」とヒステリックに叫ぶ、「被害者の心情」を利用したフルボッコな市民たちだけではありませんか?

思考停止して破綻した論理を振りかざす、ヒステリックな彼らの要求に屈してはいけません。屈してしまえば、歯止めがきかなくなります。その先にあるのは、リンチが正当化される社会。もはや民主国家でも法治国家でもありません。

さて、思考停止には2種類あるのではと思います。
1つは、「○○だから」の「○○」部分を外部依存するタイプ。社説のまま自論をぶつオヤジなどはその典型。思考の外注化といってもいいでしょう。これは独裁者を生み出しやすい。
もう1つは、「○○だから」が、そもそも存在しないタイプ。理由がない。好き嫌い、感情だけで動く。これはある意味で前者よりも恐ろしいものです。意見の対立があった場合、まず話し合いをするべきだと思うのですが、理由がないので話し合いになりません。理由がないので、どこまで反発がエスカレートしても歯止めがかかりません。全人格を否定されたようにキレだし、下手するといきなりナイフでぐさっ、となるかもしれません。
このところ多発するかに思える暴発的な殺傷事件も、「理由がない」という意味で同根ではないでしょうか。
ブログ炎上に典型的に見られるフルボッコ状況(無責任に煽り袋叩きをする群衆)も、理由がないという意味で同根ではないでしょうか。気にいらないからというだけでブッ叩く、排除する。「バカ」「死ね」…短い言葉を次々と叩きつける。。。

正しいか、間違っているかではなく、「みんなの気分」という曖昧なものを根拠にして、誰かが袋叩きされる社会になってはいけませんし、そんな社会にしてはいけません。思考停止してはいけません。自分の中をからっぽにしてはいけません。ぼくらは考えなければいけません。

理由もなく暴れるのは、子どもです。

さて。
以前書いたmixi日記ではいくつかの反論が寄せられましたので、ここでコメントしておきます。以下、一部抜粋。
加害者の今後の人生>被害者の今後の人生
ということですか。
話を読み違えています。くどいようですが、ぼくは連帯責任のことを言っています。被害者の心情を推察したうえで、「自殺するかもしれません。それでもいいんですね?」と結んでいますが、これは「被害者の心情」を利用したフルボッコ市民の論法というか脅し。
がたがた理屈こねても ダメなものはダメ
一見、スパッと斬ったように見えて、じつは理由空白。「自分の娘だったらどーする?」といいますが、それが出場辞退とどう結びつくのかわかりません。
みんなの気持ちを踏みにじる犯罪者が事件を起こした野球部が試合に出ていいのかってことでは?
野球部が事件を起こしたわけではありません。その前に、文章そのものがおかしい。
罪っていうものは被害者本人だけじゃなくて多くのものを巻き込むんです。
その重みを背負うのは加害者の義務です。
加害者が背負うべきものは、けっして無限ではありません。背負うべきものがある一方、背負う必要がないものもあります。そこには明確な線引きが必要です。加害者が出場辞退を背負う必要があるとしたら、その理由はいったい何でしょうか。

さて、最後に事実関係をおさらいします。複数の新聞記事が伝えるところによると、事件の概要は以下の通り。ブレンドしているので、いちいち出典は記しません。

群馬・桐生第一高校の2年生野球部員が強制わいせつ容疑で逮捕されたのは、7月31日。太田署の調べによると、この部員(太田市内在住の16歳)は7月22日午後9時ごろ、太田市烏山中町の路上で、アルバイト帰りの女子高生(16歳つまり同い年)に背後から近づき、口で手をふさぎ、やぶに連れ込み服の上から体を触るなどのわいせつ行為をした疑い。
現場付近では7月に同じような事件が数件発生。警戒中の署員が30日に深夜、現場をうろつき不審な動きをしていた生徒を見つけて任意同行。事情を聴いたところ、容疑を認めたという。生徒は「性的欲求を満たすためだった」と供述し、同署は余罪を調べている。
(※この時点では、あくまで「疑い」です。容疑です)

この日は県大会準々決勝の試合があり、その後、学校で新チームの練習を行った後の時間帯だった。逮捕された生徒は、甲子園の出場メンバーには入っていないし、これまでベンチ入りの経験はなかったが、3年生引退後にはベンチ入りの可能性もあったという。おとなしく寡黙で、「練習をさぼるところを見たことがないまじめな部員」「あいさつもきちんとできる子」だという。

31日夜、校長が記者会見で、「野球部員がこのような不祥事を起こし、慚愧(ざんき)に堪えない。誠に申し訳ありません」と陳謝したうえで、「1人の生徒の責任は非常に重いが、他の部員に責任を負わせるのは忍びがたい。選手たちは3年間、練習に励み、昼も夜もなく頑張ってきた」と説明。

部員1人が部活動とは直接関係のない時間帯、場所で起こした事件であって、他部員の事件への関与はなかった。部員1人の非行ではチームの連帯責任は問わないという、ここ数年の高野連の基本原則に沿っての出場OKとなった。
日本高校野球連盟は1日、大阪市内で全国理事会を開き、野球部員が強制わいせつ容疑で逮捕された全国選手権大会代表校の桐生第一(群馬)について、大会出場を認める決定を下した。
帰宅後の私的時間帯の事件であり、1人の不祥事であることから、部員の個人的な非行の場合、連帯責任を厳しく問わない近年の方針に沿った。理事会では万引きやバイク無免許運転などの非行と同列に考えてよいのか、事件の内容次第で出場の可否も慎重に判断すべきだとの意見も出たが、最終的には出場に反対する理事は33人の中で1人もいなかったという。脇村春夫会長は「連帯責任について、現在の考え方を変えるつもりはない」と明言した。
[ link ]
また、事件発覚後、同校には「ベルの鳴りやむことがないくらい」(星野栄二教頭)に電話が殺到。「事件の重要性を考えていないのか」などと出場に批判的な内容も多かったという。「甲子園に行ったらタダじゃおかないぞ」などの脅迫電話も相次いだため、一般生徒の応援参加を自粛した。

■関連記事:連帯責任は思考停止だと思う。(桐生第一)

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