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2013年01月26日

「空気を読んで笑うな!」(悪夢ちゃん)

[ 投稿者 : fratdrive ブログ : [ f ]ふらっとどらいぶログ カテゴリー : fratdrive日記 ]

日本テレビで2012年に放送されたドラマ「悪夢ちゃん」。
10月27日放送の第3話エンディングで、北川景子演じる小学校教師がクラスの子どもたちに話しかけるシーン。このドラマを見たことない人にはわからないセリフもあるが説明省略。
「先生はここにいます。先生は、サイコパスです。本当は異常かもしれない。そう思って生きています。
あのブログに書いてあることは全部、本当です。
先生は、笑いたくもないし、泣きたくもない。
みんなに嫌われないようにしているけど、好かれたくもない。
殺したいけど、殺さない。
さて、どっちの先生が本当で、どっちが嘘でしょう。」
手にハンドクリームを塗って、話し続ける。
「先生は消えましたか?
自分を消すことなんてできない。
本当の自分なんてものはいない。
人間は、どこへ逃げようと、自分から逃げることはできないのよ!
嘘と本当が、クリームのように溶け合って生きているのが人間だからです!
先生は異常かもしれませんが、これからも、それを抑えて生きていくことはできるでしょう。
赤根君、したがって、透明人間はいません。
はしゃいでいないで、座りなさい。」
すると子どものひとりが、
「祐輔、お前、はしゃぎすぎだよ、何がさ、透明人間はここにいるよだよ、そこまですんなよ」
と言い、クラスメートが口々に「そうだよ、そうだよ」「やりすぎだよ」「早く降りなよ」などと言い、言われた赤根祐輔君(騒動の犯人。自ら名乗り出て教室の窓から飛び降りようとした)はへらへらしながら「そうだなそうだな」と頭をかいて降りてくる。そこに先生は机を叩いて激しく一喝。
「空気を読んで笑うな!」
続けて、
「先生もこれからは、なるべく、もう、無理に笑わないようにします」
そして無表情に変わり、
「それでは、授業を始めます」
この脚本と演出は、日本のテレビ史上語り継がれるべき名作だと思う。こんなこと書かなくったってドラマは成立するのに、あえてこんなセリフをぶつけてきた。
演出もそれに応えた。

つまりは「ちゃんと立て!」と言っている。
「リアルを受け止め、自分の意思を持って立て!」と。
「自分探し」を否定している。

問題を抱えた集団がある。このドラマの場合は、小学校のこのクラス。
解決すべきコトを眼前に提示されても、集団の「和」を壊すことを恐れて解決から逃避する。
へらへら笑ってその場を取り繕い、ごまかそうとする。
何も変わらない。課題は常に先送りされる。
それが空気を読むということだ。
おかしくもないのに、集団でへらへらと笑うことだ。
それはまったく、僕ら、日本の大人社会でごく日常的に行われていることではないか。
問題があっても向き合わない。
誰も責任をとろうとしない。
「空気」のせいにして、まるで自分たちは悪くないとしらばっくれる無責任さ。
それを象徴的に浮かび上がらせたシーンだった。
ぼくは北川景子主演だからとそれまでエヘラエヘラと酒飲んで楽しく観てたが、このシーンで度肝を抜かれた。びっくりした。

脚本は大森寿美男、この回の演出は猪股隆一。

その才能と心意気に、敬意を表したい。
現代日本に生きる若い表現者たちは、ジャンルはさまざまだが、時にこんなことを見せつける。震災後の日本に生きる、と言ったほうがいいだろうか。



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